心の中に住んでいる人

「ねえ、蛮ちゃん。今でも邪馬人さんの事…好き…?」 「…………」 答えはない。ただ、ふとわずかに下げられた視線が、纏う雰囲気が、軽い想いではないと伝える。 「あ、ごめん、責めてるんじゃなくってさ」 慌てて銀次はそう言った。 本当に責めているわけじゃな…

眠る君

「…っ…」 かすかな、気配。 今夜もまた、うなされている。 「……」 どうすれば悪い夢を見せないようにできるのかわからないから、せめて。 目が覚めている時にはまず触らせてもらえない黒髪に手を伸ばす。 「……」 目を覚まさないように、そっと。 悪い夢なら…

天野銀次(うさぎ)

神様なんかいないと思ってた。 ずっと前はいると思ってた。でもだんだん信じられなくなって…いないと、いても意味のないものだと思ってた。 けど。 今、オレの腕の中では蛮ちゃんが眠ってる。 …綺麗だなぁ…。 蛮ちゃんに逢ってから何度も思って、何度も口に…

水城夏実(うさぎ)

今日は三月三日のひな祭りですけど、残念ながら曇りでちょっと寒いです。 だからってわけでもないところがちょっと悲しいけど、相変わらずお店にはお客さんが少ないです。 今は、へこんじゃってる銀ちゃんが一人。 何でも、蛮さんが弥勒さんと出かけちゃった…

美堂蛮(うさぎ)

寝難さに目を開けると、目の前に銀次の顔があった。 「…………」 …ああ、そういや、昨夜はあんまりにも寒ぃから、引っ付いて眠ったんだっけか。 銀次は違う風に寝たかったらしいけど…真正面から「したい」って言われて、オレがOKだせねぇってこと、こいつにゃま…

冬木士度(ねこ)

事の後、先にシャワーを浴びた美堂が、バスローブ姿のままベッドで眠っていた。 とっくにいなくなってるかと思ったが…。 そっと近付き、穏やかな寝息を漏らす薄く開かれた唇に触れようとした時、それを咎めるように、美堂の携帯が鳴った。 「…………」 しばらく…

王波児(ねこ)

煙草に火をつけて、吸い込み、深く吐き出すと、ベッドの中からしなやかな腕が伸びて、ひらひらと要求する。 「波児、オレにも」 「…灰、落とすなよ」 どうせベッドの上で煙草吸うな、とか言ったって無駄なんだと諦めて、一応釘を刺しつつも火をつけた煙草と…

美堂蛮(ねこ)

(9月21日の日記の銀次が来る前に、二人がどうやって遊んでいたか) …盗聴が趣味って辺りから、やべぇ奴だってのはわかりきってたから、今更驚きゃしねぇけど。 この程度の趣味の奴なら、まあ、結構いるしな。 「やっぱり、こういう趣味だったんだな、弦巻き…

王波児(ねこ)

(6月22日の続き) カララン♪ ……聞きたくないドアの音は空耳ではなかったが、それでもオレの運はまだ尽きてないらしい…ふう(安堵 「…失礼、お邪魔なのはわかってるんですけど」 ちょっと困ったような顔をしながら、入ってきてそう言ったのは、花月くんだっ…

王波児(ねこ)

「つっまんねぇ…」 退屈そうな猫が目の前のカウンターに懐いている。 外は実に梅雨らしい雨で、相変わらず他に客もなく(というか、猫は客じゃないか…金払わないんだからな)、夏実ちゃんも学校。 確かに気だるげではあるな。ちなみに銀次はいない。無限城に…

弥勒夏彦(ねこ)

「蛮…」 ついさっきまで可愛く喘いで哀願していたというのに、終わって一息ついた途端、ふてぶてしい態度に戻って、手錠を外せと腕を突きつけてくる。 まあ、これはこれで可愛いが。 「んだよ」 「屋敷に戻る気はないか」 「まーたその話かよ? 大概しつけぇ…

美堂蛮(ねこ)

…やなもの、見ちまった。 見るまで全然気付かなかった…あいつらが、あんなに似合いだって事に。 寝る準備(っつっても、埃よけに敷いたものの上に寝転がって、余ってる服を引っ掛けるだけだけどな)してる銀次の方へ、四つん這いで近寄っていく。 我ながら、…

天野銀次(ねこ)

蛮ちゃんがなんか変だ。 「なぁ…しようぜ、銀次…」 四つん這いで近寄ってきて、オレを甘く誘う。 それはもちろんいいんだけど、嬉しいんだけど…。 「ねぇ…蛮ちゃん、どうかしたの?」 「んだよ…したくねぇってのか…?」 「そんなこと言うわけないじゃん! そ…

天野銀次(ねこ)

今日はマリーアさんのところに遊びに来てるんだ♪ 「そうだ、銀次君、月齢占いしてあげましょうか?」 「げつれいうらない?」 「銀次君の生まれた時に、月がどのくらい欠けていたかによって、性格とかを占うものなんだけどね〜」 「けっ、あたりゃしねぇよ、…

赤屍蔵人(ねこ)

おやおや・・・士度クンと別れて、すぐにタバコを銜えて。 満足できないのならば、相手にしなければいいのにねぇ。 「…ジャッカル」 「こんばんは、美堂クン、満足なさっていないなら、私の相手をしていただけますか?」 どこまで行けばあなたが満足するのかは…

独占欲(銀雷)

「雷帝…雷帝、いる…?」 目を閉じて、自分の内側に向かって呼びかける。 そうすればいつでも現れる、愛しい影。自分であって自分でない、もう一人の自分。 雷帝。 「もちろんだ…どうした? 銀次…」 同じ顔のはずなのに、氷の美貌といえるくらいに整って見え…

わたしを殺さないで(蛮雷)

蛮を見るたびに感じるこの胸の痛みは… 「憎しみ」なんだろうか… 「………」 目が覚めた時、最初に見えたのは蛮の横顔だった。月光に照らされて、相変わらず煙草を吸っている…。 綺麗…だな。性格はともかく、蛮の顔はとても綺麗で好きだと思う。 ずっと見ていた…

?×蛮(ねこ)

「ちーっす、波児。ブルマン1つな」 カララーンと鐘の音を鳴らして、蛮が入ってくる。 誕生日だっていったって、何も変わらないな。まあ、変わりようもないか。 あ、だが、微妙に上機嫌…か? 「おう。今日はおごってやるぞ」 「ああ、そのつもり」 って、お…

邪馬人×蛮(うさぎ)

「もうすぐ誕生日だな、蛮」 そう言った邪馬人は、誕生日がくる蛮よりも嬉しそうな顔をしていた。 「前に言ったよな、盛大に祝おうって。蛮の望むことなら何でもしてやるぞ? 何してほしい?」 わくわくと、顔を覗き込まれ、蛮はかえって困惑してしまった。 …

冬木士度(ねこ)

夕飯の後、ぽつりとマドカが言い出した。 「あの…今週末の事ですけど」 「今週末?」 週末は土曜に美堂と会う約束があるくらいだが、それをマドカが知っているわけもねぇし。 なんだろう、と思ったのが伝わったらしく、マドカは笑いながらも少し切なそうに説…

天野銀次(うさぎ)

(21日の続き) 朔羅のケーキ〜♪ケーキ♪ って言うか…ほんとに食べたいのは蛮ちゃんなんだけどさ。今日は満月だし。 でも、蛮ちゃんってば、昨日から警戒してるんだもんなぁ…(苦笑 今日は満月。だから先月みたいに蛮ちゃんと楽しもうと思って、指折り数え…

美堂蛮(うさぎ)

今日は満月、それも中秋の名月だ…。 普段月なんか見ねぇ奴等も、秋の満月は月見だとか騒ぎやがるからな…まじぃかと思ったが、やっぱり… あの顔はわかってやがんな…(嘆息 先月の満月のときゃ、オレも気付かねぇままうっかり興奮してたのか、銀次の誘いになん…

美堂蛮(ねこ)

「んっ…」 ずるりと銀次がオレの中から出ていく…。 「蛮ちゃん…v」 いつもなら満足するはずなのに…頬に触れてくる指も…押し当てられる唇も…何か、気持ちが悪い…。 「―――っ、どうしたの、蛮ちゃん?」 思わず銀次を押し退けたせいで、驚いた顔してやがる…けど、…

風鳥院花月(ねこ)

HONKYTONKの昼下がり、マスターも銀次さんもいない、めずらしく美堂くんと二人きり。 「猫って、B型が多いそうですね」 退屈そうな美堂くんにそう話しかけてみる。 「へぇ…猿マワシにでも聞いたのか?」 カウンターにうつ伏せてた顔をちょっとだけ…

冬木士度(ねこ)

「おい、美堂。シャワーあいたぞ」 事の後、連絡でも待っているのか、シャワーも浴びずに携帯をいじり出した美堂を放ってオレはバスルームを使ったが、出てきてもまだ美堂は携帯をいじっていた。 くすくす…。 その上あろうことか、楽しそうに含み笑いまで漏…

天野銀次(うさぎ)

「銀次! テメー、こりゃ一体何のマネだ!?」 蛮ちゃんが腕にかけられた手錠をガチャつかせながら、睨みつけてくる。 無限城の一室…オレは蛮ちゃんを閉じ込めた。MAKUBEXには悪いけど、雷帝だった頃の権力を振りかざして、この部屋をオレの物にしてしまった…

弥勒緋影(うさぎ)

あの子は元気にしているだろうか…。 …ああ、もう「あの子」という年ではないか…しかし、蛮を思う時、どうしても出会った当初の体の細さと、痛々しい程の張り詰めた怯えた気配を思い出してしまうな…あの時は、確か13…だったか? あれからもう5年も経つのか…今…

天野銀次(うさぎ)

金曜日はね〜、すっごく幸せだったんだ〜vv もー、2ヶ月近くぶりに蛮ちゃんがやらせてくれてさ〜(泣 というか、カヅっちゃんのお蔭なんだけどねv 「満月の日は興奮するそうですから、その日を狙って誘いをかけてみたらどうですか?」って教えてくれたか…

美堂蛮(うさぎ)

あ〜…体だりぃ…。 昨夜は何となく銀次の誘いに乗っちまったけど…満月で興奮してたんだな…たぶん。 銀次の野郎もいつも以上に激しかったな…つか、気ぃ失いかけたのを、正気に戻してまでするか?普通(汗 おかげでこっちは、だりぃは睡眠不足だは体痛ぇはで…ま…

王波児(ねこ)

蛮のどこが気に入ってるって、もちろん容姿も好きだが、やっぱりあの二人きりの時に見せる弱さかな。 なんでオレには弱みを見せてくれるのかわからんが…やっぱり、父親とか思われてるのか?オレは(苦笑 まあ、裏の仕事上、いろいろ知ってるのと、年が離れて…