弥勒緋影(うさぎ)

 あの子は元気にしているだろうか…。

 …ああ、もう「あの子」という年ではないか…しかし、蛮を思う時、どうしても出会った当初の体の細さと、痛々しい程の張り詰めた怯えた気配を思い出してしまうな…あの時は、確か13…だったか?

 あれからもう5年も経つのか…今はよいパートナーを見つけ、穏やかでいるようだ。以前からあまり逢えはしなかったが、蛮が屋敷を出てからは本当に滅多に逢う事ができなくなってしまった…しかしそれでも、蛮がいきいきと生きているならば、籠の鳥であったあの頃より、ずっといい。

 夏彦の慰み物でい続けるのでは、可哀相過ぎる。

 蛮は本当に利発で優しくていい子ゆえ…幸せになれるといいのだが。淋しがり屋なのだが…それを隠そうとするところがあるからな…天野銀次がちゃんと気づいてやっているといいが。

 あと…体の事で、蛮を追い詰めないでやってくれるといいと思うのだが…。

 

 蛮が選んだ相手なら、私は反対する気はない。

 だがそれは蛮が幸せなればこそ。

 蛮を不幸にするならば…例え蛮に恨まれようとも、抹殺する事に躊躇はない。

 

 私はお前の幸せを、ずっと祈っている。蛮。

 そばに居て護る事さえ出来ないこの身では、他に何も出来ないのでな…。

 あの時と同じように、未だに私は無力だな……すまない、蛮。

 

☆☆☆

 

緋影。蛮ちゃんとはお互いにラブラブだけど、えっちは思いつきません。
邪馬人兄ちゃん以上に思いつかない。
ラブラブというか、「護る者」と「護られる者」だからなぁ…家族…ともちょっと違うような。うーん。