2011-01-01から1年間の記事一覧

あるていどのきけんをかくごしましょう(屍蛮)

満月。 月光と思えないほどの眩しい光が降り注いでいる。 「すっげー…掬えそう」 一人、上機嫌にそう呟いて、水を掬うように手で椀を作る。 もちろんそこに月光が溜まるはずもなく、それでも蛮はひどい上機嫌のまま、足取りも軽く歩いていく。 質量すら感じ…

美堂蛮(ねこ)

「まず、シャワーを浴びてね。着替えは出しておくから、全部洗濯籠に入れてしまってかまわないわ」 居心地良く散らかったマリーアの家につき、椅子に座りこもうとしたらそう言われた。 まあ…確かにシャワーは浴びてぇかな。 「着替えって、レースがビラビラ…

美堂蛮(ねこ)

冗談じゃねぇと思った。 銀次が他のヤツを抱くなんて、絶対に嫌だと。 だけど…それに文句を言う資格は、オレにはねぇよな…。 怒りにまかせて波児の所を飛び出したはいいが、このまま銀次の所に帰ってどうする? ふと冷静になって、足を止めると、オレは路地…

王波児(ねこ)

「お前さぁ…大丈夫なのか?」 「…何がだよ?」 事の後、ぼんやりと煙草をふかしている蛮に問いかけると、逆に聞き返された。 「銀次だよ。浮気はいい加減にしとかないと、捨てられて泣いても、オレは仲裁しないぞ」 まあ、こうやって相手しちまうオレが言う…

スキンシップがすこしはげしいです(総受け)

(ん・・・そろそろ、だな) 自分の体に異変が起こる予兆を感じて、蛮は煙草をくわえると、ふいと歩き出した。 銀次から離れるために。 年に二回ほど訪れるこの時期になるといつも、蛮は銀次の前から姿を消し、過ぎると帰ってくる。 それを銀次が不満に思わ…

じぶんをしゅじんだとにんしきさせましょう(銀蛮)

蛮ちゃんは獣っぽいと思う。 悪い意味じゃなくて…なんていうのかな…人間とは違う感じ。 士度の友達の動物たちとは違う、「動物」ではなく「獣」。 言葉は通じる。でもどっか全然相容れないところがあって。 絶対他人には従わない自由さ。とても惹かれるその自由…

弥勒緋影(うさぎ)

『…っ……』 「…蛮…?」 反射的に名を呼んでから、居るわけがないと思う。 ここは屋敷だ。蛮がここに帰ってくるはずがない。 しかし、気配…ではないが、感じる。 蛮が一人で苦しんでいるような気がする。 それ以上は考えず、夜着からいつもの服に着替え、荷物…

感想もどき1

銀「蛮ちゃんと夏彦ってさ〜、なんか似てるよね」 蛮「…そうか?」 銀「うん。蛮ちゃんが髪下して、サングラスかけてないと結構似てる」 雪「近しい家柄だし、何代か前に血が混じってるのかもしれないね。まあ、夏彦より蛮の方がずっと美人だけど」 銀「逆に…

風鳥院花月(ねこ)

「美堂くんのお好きな体位は何ですか?」 「・・・・・・はぁ?」 質問に、らしくない間抜けな返事が返ってくる。 まあ、自分でも唐突な質問だとは思うけど。 「んだよ、そりゃ」 「ただのアンケートですから、お気になさらずに」 「変なやつ。…好きな体位、…

天野銀次(ねこ)

「蛮ちゃん……」 投げ出された蛮ちゃんの素足に縋り付く。 「蛮ちゃん、オレのものになって…オレだけのものに」 蛮ちゃんに『お願い』する。 同情でもいい。蛮ちゃんがオレのことを『かわいそうなやつ』と思ってもいい。 情けない。それでもいい。 プライドな…