じぶんをしゅじんだとにんしきさせましょう(銀蛮)

 蛮ちゃんは獣っぽいと思う。
 悪い意味じゃなくて…なんていうのかな…人間とは違う感じ。
 士度の友達の動物たちとは違う、「動物」ではなく「獣」。
 言葉は通じる。でもどっか全然相容れないところがあって。
 絶対他人には従わない自由さ。とても惹かれるその自由さが、時々すごく憎らしくもなるけど。
 それでも惹かれてやまない…魅力的な獣。





 「ダメでしょ? 蛮ちゃんはオレのものなんだから、他の男と遊んだりしちゃ」
 「…オレが誰と何しようが、オレの勝手だろうが」
 ぞくぞくする。かけられた手錠が、蛮の理性を奪っていく。
 快楽を期待し始める体を無視するように、手錠の存在を認識しないようにしながら、強気に言葉を紡ぐ。
 しかし、静かに怒っている銀次がそれを許すはずもなく。
 鎖を強く引かれ否応無く、手首に手錠がかかっているのだと、そうしたら次には快感が与えられるのだと、夏彦に教えられた体が火照り出す。
 「はっ…あ・・・っ」
 「勝手じゃないよ。手錠かけられただけで熱くなっちゃうこのいやらしい体はオレのなんだから、他の男に触らせたりしちゃダメ」
 「好きでなってんじゃねぇよ! それに弱いってわかっててやってんだから、卑怯じゃねぇか!」
 「卑怯?」
 潤み始めた瞳で、それでもまだ快楽に流されずに睨みつけてくる蛮に、銀次はゆっくりと蛮の体に手を這わせながら、静かに呟いた。
 「相手の弱点を突くのは常套手段でしょ。卑怯とか言われたくないな」
 「…っ……くっ…」
 ごく緩やかな、愛撫とも言えないような刺激さえも、快感を期待し餓え始めた体は敏感に感じ取り、体内に熱を溜めていく。
 「それにこうでもしなきゃ、蛮ちゃん、憶えないでしょ? ダメだよって、もう何度も言ってるのに」
 「っ…オレの、主はオレだ。誰と何をするかは、オレが決める」
 特に感じる場所に触れられているわけではないのに、銀次の指が動くたびに震えてしまう。
 話しながらも、ずっと意識は刺激を与えてくれる指先に集中している。
 「ちょっと触っただけなのに、もうこんな?」
 不意に、硬くなりはじめた胸の突起を抓まれ、体が跳ね上がる。
 「ああっ! は、ぁっ・・・」
 「いいの? いやらしいね…でも好きだよ」
 ひとしきり弄んで、手を離す。与えられた強い刺激に、蛮の理性が急速に崩壊していく。
 「…銀次ぃ…」
 抓まれた胸の先が痺れるようで、早く早く次の刺激が欲しくてたまらない。
 それ以外のことはもう考えられなかった。
 身を捩りながら、ねだるように名を呼ぶ蛮に、銀次は場違いなほどにっこりと笑って聞いた。
 「蛮ちゃんの主人は、誰?」
 「………オメー、だ…っ」
 蛮にはそう答える以外の道はなかった。そう言わなければ最悪、刺激を与えられては放置、を気が狂うまで繰り返されるかもしれない。
 「よく言えましたv もう忘れちゃダメだからね?」
 満足そうにそう言って、快楽を待ちわびている蛮に、銀次は望むものを与えた。




☆☆☆




 銀次、ちょっと黒め。最初のころの受けっぽさはどこへ行ったやら。いや、なくなっていいんだけど。
 うちで「猛獣」と言ったら、ねこ蛮ちゃん(笑
 自由気ままで、気が向けば相手してもらえるけど、機嫌を損ねたら食い殺されかねない。
 普段はそこまで強烈でもないんだけど、たまにはそういう蛮ちゃんもいいな〜と、このお題を選んでみました。
 どこまでそんな蛮ちゃんが書けるやら。



 手錠について。これって、キャラプロフィールの所に書くべきか悩んだんだけど…いいやここで。
 別にうさぎ蛮ちゃんでもろ手錠の話を書いてるんで、そっちに書いてもいいけど、そっちはいつ出来上がるやら…なので(^^; だって、エロメインなんだもん…。
 うちの蛮ちゃんにとって手錠は、パブロフの犬。ベルを鳴らしてご飯、の代わりに、手錠をかけてえっち、を夏彦が繰り返した結果、手錠をかけられると体が快楽を待ち受ける状態に(−−;
 しかも、手に掛けられちゃうと、おもちゃだろうとなんだろうと「壊せない」という暗示入り。
 手錠をかけられる=さんざんえっちされる、なので、うさぎさんは軽い恐慌状態に。ねこさんはパニックにはならないけど、一方的に好き勝手弄ばれるイメージが強いので、嫌い。
 これを知っているのは弥勒だけ。銀次が知ってる理由は…いつか出来上がる(であろう)手錠の話を乞うご期待!(自分の首絞めてるな…