眠る君

 「…っ…」

 かすかな、気配。

 今夜もまた、うなされている。

 「……」

 どうすれば悪い夢を見せないようにできるのかわからないから、せめて。

 目が覚めている時にはまず触らせてもらえない黒髪に手を伸ばす。

 「……」

 目を覚まさないように、そっと。

 悪い夢なら覚めた方がいいのかもしれないが…覚めればきっとまた、強がってしまうから。

 背筋を伸ばし、揺れる瞳はサングラスで隠して。皮肉気に口元を歪めて、わざわざけんかを売るように毒を吐く。

 (そんなに…一人っきりで立とうとしなくても、いいのに…)

 お互いに寄りかかりあおうと思って、一緒にいるわけではない。

 それでも、自分にくらいもう少し隙を見せてもいいと思うのだが。

 (まだまだ全然、頼りないって事かなぁ…)

 小さくため息をついて、起こさないように細心の注意を払いながら、頭を撫でる。

 そうっと。それでも悪夢を祓えるように、祈りながら。

 (大丈夫、オレがそばにいるよ)

 そばにいて、何ができるかわからない。何の役にも立たないかもしれない、それでも。

 (オレがずっとそばにいるから)

 強くて脆いあなたを守りたい…。

 「守る」だなどと言ったら、何様だと怒鳴られそうだが、それは驕りではなく。

 自分に対する誓いであり、祈り。

 (蛮ちゃんが…もう傷つかないですみますように…)

 そう願いながら、悪夢に強張る蛮の体から力が抜けるまで、銀次は今夜も蛮の頭を撫で続けるのであった。

 

☆☆☆

 

…久しぶりに書いたら、やけに初期に戻ってしまいました…銀次と蛮ちゃんの関係も、私の文章も……(−−;

アーリーデイズのせいかしらv(…だったらいいんだけど

つか、またこのネタ書いてるよ…。

夢にうなされる蛮ちゃんを見ている銀次、っていうのは私の中で、基本なのかもしれません。

銀次と蛮ちゃんの関係はともかく、文章まで昔に戻っちゃまずいだろう、私…しばらく書かないとこれだから(−−;

20040621