赤屍蔵人(ねこ)
おやおや・・・士度クンと別れて、すぐにタバコを銜えて。
満足できないのならば、相手にしなければいいのにねぇ。
「…ジャッカル」
「こんばんは、美堂クン、満足なさっていないなら、私の相手をしていただけますか?」
どこまで行けばあなたが満足するのかはまだ試したことがありませんが、まあ…先に私の限界が来るなら、それも面白いでしょう。
どちらが先に食い尽くされるか…美堂クンと限界を見極め合うと思うと、柄でもなくドキドキしますね…v
「オメーの相手、ねぇ…」
「私では役者不足ですか?」
乗り気でなさそうな美堂クンにそう聞いてみる。
ちょっとサングラスを押し上げて前髪をかきあげると、小さく呟いた。
「…オメーとすると、前の男を思い出すから嫌なんだよ」
前の男?
「前の…と言われると、工藤邪馬人さん、ですか?」
違うでしょうが。彼と私では、これっぽっちも接点がありそうにないですからねぇ。セックスのやり方が似ているとも思えませんし。
「――――っ」
また…そんな顔をして。もうとっくにいない存在だというのに。
彼はまだ、あなたの中で大きな傷のままなのですね。名前を聞いただけで、そんな…迷子の子供のような表情になってしまうほどに。
イライラしますね…あなたにそんな表情は似合いませんよ。ましてや、私以外の存在のためにそんな顔をするなんて…。
…ということは、私によって美堂クンがらしくない表情をするのはいいということか…? ふむ、面白い感情ですね。
確かに、他の誰のせいでもなく、私のせいで美堂クンが普段と違う風になるのは、面白い…。
「邪馬人じゃねぇし、邪馬人の名前を軽々しく出すんじゃねぇ」
「銀次クンよりも大事な存在だから、ですか」
「うるせぇ!」
美しい紫紺の瞳できつく睨みつけてくる…そう、あなたはそうでなくては。
弱いあなたでは壊し甲斐がない。
「…いいぜ、相手してやる、ジャッカル」
タバコを弾いて、踏みつけて消すと、しなやかな腕を首に回してくる。
「他の誰とも違うって証明してみせろよ? オレを…満足させんだろ…?」
自棄ですか? まあ、相手をしてくださる気になったなら、なんでもかまいませんv
魅惑的ですよ、美堂クン。挑発するような目つきも、声音も、体つきも…あなたには本当にそそられる…。
「ええv 満足できなければ、私は役立たずだと言い触らしてくださってもかまいません」
「へぇ…すっげぇ自信。本当に言い触らすぜ?」
「かまいませんよ、あなたが満足できなかったのなら…ね」
例え負け惜しみで美堂クンが言い触らしたとしても、別に人の噂などたいしたことじゃありませんし。
負け惜しみならそれはそれで…可愛らしいじゃないですかv
「期待すんぜ?」
「ええ、期待して…楽しんでください」
私も、たっぷり楽しませていただきますから…クスv
☆☆☆
最初にチラッと士度が出てくるのは、士蛮を書いてからこの話に繋げようと思っていたので(^^;
タバコが蛮ちゃんにとってどういう意味があるか、というのをバネッチが知ってるのは、私の勘違いです(汗
知ってるわけないんですが…指摘されるまで気付きませんでした…あう(−−;
銀次より未だに兄ちゃんのほうが大事で、図星をさされて怒った訳ではなく、答える気がない威嚇…のようなものですので。
っていうか↑のようなことは文中でわかるようにしたいんですが…一人称だとどうも、難しくて。
バネッチとすると、夏彦の何を思い出すのかは…私も知りたいところです(笑