美堂蛮(ねこ)
今日は無限城で祭っつーかそんなもんやるとかで、MAKUBEXの野郎に銀次が呼ばれてた。
電磁波の影響で半雷帝化しながら、崇め奉ってくる奴等に鷹揚な笑みで受け答えをする銀次なんざ、見てて腹立つだけだから行きたかなかったんだが…。
それでも銀次が帰ってくんのをイライラ待ってる位ならそばにいた方がマシかと、『お酒も食べ物もたくさん食べられると思うよ』っつー銀次の誘いに乗ったフリで、一緒に無限城へ行った。
…やっぱ来んじゃなかったぜ…。
オレはVOLTSの奴等が銀次を取り囲んでる部屋から出て、少し離れた通路で煙草に火を点けた。
酒飲んでも、酔えやしねぇ…。雷帝になりかけの銀次が嫌なわけじゃねぇんだが。「雷帝」自身は好きじゃねぇけどな。
何が気にいらねぇって…
「そこの退屈そうな、美人さん。俺と遊ばない?」
…ホスト野郎。さっきまで見なかったが、居やがったのか。
「オメーと遊ぶほど暇じゃねぇ」
「そう? イライラしてて、気分転換したそうに見えるけどな」
クス…っと、ジャッカルみてぇな気に障る笑い方しやがる…。
…煙草吸い終えても銀次が来ねぇなら帰るつもりだったが、このまま帰っても、イライラしたままか…。
なら、ちっとくらい遊んでっても、かまわねぇかな。
とオレの気が変わったのがわかったのか、ホスト野郎は笑みを深めて近付いてくると、オレの腰に手を回した。
そうして、少しグラサンをズラすと、色の薄い瞳で覗き込んでくる。
「今のままでも綺麗な瞳だけど…濡れたらもっと綺麗だろうね」
「オメーなんかに泣かせられる美堂様じゃねーぜ?」
「クス…可愛い声で鳴かせてあげるよ…」
ホスト野郎がオレの唇を指でなぞり、唇を重ねようと顔を近付けてきた時、通路に銀次の気配がした。
「…何、してるの」
半雷帝化してるせいと怒りのせいか表情がなく、声も冷てぇのに、ホスト野郎は軽く肩を竦めただけでオレの腰に回した手を離す事無く、いつもの調子で呟いた。
「無粋だねぇ…見ればわかるだろ?」
この銀次を目の前にしても、これだけ飄々としていられるってのもすげぇな。
「鏡…蛮ちゃんに手を出したら、許さないよ…?」
「窮屈なコイビトだね。同意の上ならかまわないだろ、子供じゃないんだから」
「……」
無言で睨みつけてくる銀次に、ホスト野郎はもう一度肩をすくめると、オレから手を離した。
「はいはい。今、雷帝とやりあう気はないよ」
やけに余裕だな…雷帝とやっても、負ける気はねぇって事か? というより…こいつの性格か(苦笑)
「じゃ、またv」
と、妙に似合う投げキスを投げて、ホスト野郎は行っちまった。
→続き
☆☆☆
これだけ数がある下弦の中で、これとこの続きの話はかなりのお気に入りだったりします(〃∇〃) てれっ☆
鏡も初のわりには、まあ、それらしく書けたのではないかと思うですが…どうでしょう(^^;
バネッチと同じで、鏡も苦手な部類に入るキャラなのですが…。
この話では「窮屈なコイビトだね」という台詞が、妙に気に入ってます…なんでだ(^^;