陽色の髪を好きなわけ

 「…金色の髪って、綺麗だよな」

 やわらかなキスの後、幸せな気分のままにめずらしく素直にそんなことを言ってみれば。

 ほめたはずの相手は微妙な顔をして。

 「……蛮ちゃん、金色の髪、好きなの…?」

 「ああ、陽に光って、綺麗じゃねぇ?」

 自分の闇色の髪よりずっと神に祝福されてる気がする、とは、自分をこうして抱きしめることを許した目の前の相手がむきになって否定してくるのがわかっているので言わないが。

 しかし、何故素直に喜ぶと思った琥珀の瞳の持ち主は困惑しているのだろう。

 「銀次?」

 「…それって、金髪の人が好きってこと?」

 「まあ…そうなるかな」

 そう答えると、ますます複雑な顔をして、

 「長い方が綺麗…だよね」

 とか何とか呟いている。

 どうやら長い金髪の誰かさんや誰かさんが候補に上がっているらしい。

 (ったく…)

 どうにもはっきりわかりやすく伝えないといけないらしい。

 はぁ…と、わざとらしく大きくため息をつくと、さらに困った顔をする。そんな顔も嫌いじゃないと思う辺りで、終わっていると思うのだけれど。

 「オメーなぁ…こんな邪眼でもオレの瞳が好きだっつったよな…?」

 微妙に語尾が確認するようになってしまうのは、やはり自分では好きになれない分、否定される可能性を捨てきれないから。

 「うん」

 その分、間髪を入れずに頷く銀次にほっとして、心の奥がまた少し温かくなる。

 「そりゃ前から邪眼が好きだったってことかよ? 邪眼だったら、ばばあでも他の誰かでも好きなわけか?」

 「違うよっ! そりゃあ、その目の色は純粋に綺麗だと思うけど、オレは蛮ちゃんだから…っ」

 「だったら」

 みなまで言わせずに、銀次の髪をぎゅっと掴む。

 「いてっ」

 「オレも『この』金髪が好きだっつってんだよ。わかれよ」

 「うんっ、わかったvv」

 尻尾があれば振りまくっているであろう満面の笑み。

 やはり困った顔よりもこんな笑顔のほうが好きだ…とはさすがに言えないが。

 「オレはね、蛮ちゃんの目の色も髪の色も肌の色もみんな好きだよvv」

 「オメーのそれは聞き飽きたっての」

 飽きるどころか何度聞いても幸せを感じてしまうのは、多分ばれているが一応、秘密。

 

 「あとね〜、言ったら多分怒られるけど、あんまり大声で言えないような所の色とかもv」

 「待て、おいっ///」



☆☆☆



個人的には銀次の金髪は濃い目と言うか、くすんでる印象です。あんまりきらきらと光るイメージではなくて。

雷様の方がプラチナっぽくて、色素薄い感じ。瞳も。

最後の場所は、まあお好きなところで(笑

20050203